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眉を整える。 「こう変わったよ」と鏡で確認させる。

それを見た担当医が「目が輝いて見えるね」と言葉をかける。 生命維持のための植皮手術で皮層の色に差が出てしまったところを、ファンデーションで変えていくのだが、皮層に段差も生じているため、口紅の筆を使ってファンデーションを塗るテクニックを教える。
これも差がなくなったことを確認させる。 もちろん、担当医もコメントを添える。
この繰り返しである。 そして、最終的に彼女ができるはずの範囲でメイクをし、元気な顔になったとき、鏡の中で彼女はニッコリとしてくれた。
彼女は、これから治療のための皮層移植の手術を何回か受けることになっている。 だが、メイクでカバーできる範囲が分かったことで、手術の回数が減った。
担当医がそう判断を下したのだ。 ここがポイントだった。

体にも心にも負担がかかる手術の回数が減らせる。 リハビリメイクは医療のフォローになりうる。
そして最終的に精神科の先生と連携して、彼女と、自殺の経緯を話しながらメイクできる日が来ればいい。 そうなることを、私は心から願っている。
また、心のケアが必要なのは、患者さん本人はもちろんだが、その家族のケアも考えてあげたいと、私は思う。 あるお医者さんの話である。
彼は生まれつき血管腫という病気を持っていた。 そのため、顔の下半分が赤く、唇は変形していた。
彼は医者という職業柄か、仕事中は、マスクで顔を覆っているため、血管腫のことをほとんど気にしていなかった。 私のところへも、奥さんが無理やり連れてきたらしい。
奥さんは「普段の治療中はいいけれど、学会などで発表するとき、このままではマイナス印象を与えるのでは…」と、心配されていたのだ。 赤みを消し、全体の肌の印象を統一するため、全体に薄く見えるようなイエローのファンデーションを塗った。
そして、唇はかさつきやすいのでファンデーションにオイルを混ぜ、自然なつやのある唇を造った。 また、唇の輪郭が血管腫のためはっきりしなかったので、輪郭もファンデーションで描き込むと、それだけで血管腫はほとんど隠れたのだ。
そして、その顔のまま自宅に帰ると、彼の80代の気丈なお母さんが「初めて、この子の赤くない顔を見た」と涙を流されたそうだ。 その気丈さの奥に、息子の血管腫を気に病んでいた母親の真心を見た気がした。


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